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葬儀の意義葬儀の意義
人間を他の動物と区別する一つが、死者を弔い、葬ることだといわれています。
人間は過去を振り返り未来を考える事ができ、そして独りでは生きられません。
人間はその誕生の時から人と連なって生きてきたのです。そして死ぬときには、家族はもとより、付き合った人たちに惜しまれ、遺される人に深い悲しみをもたらすのです。そして、人は、〈いのち〉の尊さ、重さ、かけがえのなさを知るのです。そして、これからも〈いのち〉のバトンを先へとつないでいこうとしています。この〈いのち〉
の引き継ぎ作業がお葬式であると思います。
将来を誰もが正確に予測することはできません。ただ一つのことを除いて。それは「人間が死ぬ確率は100%」であることです。
今日本では80歳以上で死亡する人の割合が全体の死亡者数の5割弱です。長寿で亡くなる人も多いが、40代の若さでがんを発病し亡くなる人、10代の若さで事故に巻き込まれて亡くなる人、幼子の死も、自死もあります。
アジアやアフリカに目をやるなら、子どもが感染症や飢えで死ぬ、というのは日常的光景となっていることを知ります。
〈いのち〉の価値は、長いか短いかにあるのではありません。また、社会的に成功したかしないか、家庭的に恵まれていたかいないか、有名か無名か、その他どのようなことにも左右されず、すべての人のいのちは尊く、意味あるものとしてあるのです。
そしてすべての人の死は、弔われる権利があります。
お葬式には大切な意味があります。
第一は、故人を弔うことを通じて、故人のいのちを受け継ぎ、次代に確かに渡していくことです。
第二は、人は独りではなく、人との関係で生き、暮らしてきたのですから、できれば故人の人生に係わった多くの人たちと一緒に送ってあげたいものです。
第三は、故人が私たち全てにとってかけがえのない大切な存在であったことを再確認することです。
いのちには限りがありますが、そのいのちは一つひとつ輝いています。大切に、厳粛な気持ちで、心をこめて送りたいと思うのです。
第四は、死別の悲しみを大切にする、ということです。
愛する人を喪うことによって、悲しい気持ちになる、気持ちのやりどころがなく、怒りっぽくなる、感情をコントロールできなくなる、感情が押し潰されたような感じになる、というように特別な感情に陥ることがあります。
あるいは食欲不振、不眠というような身体症状が出ることがあります。こういう症状が出るのは愛する人を喪って出る症状で、自然なもので病気ではありません。感情を抑えようとする必要はありません。
お葬式の形には、一定の慣習はあるものの、こうでなくてはいけないという決まった形はありません。
しかし、絶対に欠かせないものがあります。
それは、亡くなった人を弔う気持ちであり、悲しみにある人を優しく、思いやり、いたわる気持ちです……。